
ここで言うドラゴンクエストというのは、時期的から考えてドラクエ10である可能性がかなり高いことは事実ですが、じゃあ事件とドラクエ10と何か関係があるかと言えばないでしょう。
今回も結果的には週刊誌にも取りあげられてる結果となりましたが、実際にはネットの方が「ドラクエ」という言葉を切り取って、そこに「ドラクエ10」の名前を馳せてしまった”あの事件”を無理やりくっ付けて言葉遊びをしているように見受けられます。
「ドラクエを規制しろ!!」という主張のかなりの割合はただの愉快犯で、ほぼ無意味な意見だと思います。
ただ、意味のある言葉というのは、何かしらの思想や賛否を含みやすく、イデオロギー的な区分を嫌う場合に転載を控える事もあるのに対して、「短くて意味のない言葉」は実はもっとも拡散しやすい言葉です。
いわば大衆心理の一種で、「ドラクエが悪い!」「規制すべきだ!」という一見本気なんだか、ネタなんだかわからない意見も、くりかえしそれが転載され、人の目につくことによって、ある種の説得力を持つようになっていきます。

これは今回の件に限らず警戒すべきことではないでしょうか。
スポンサーリンク
ドラクエ10は影響を与えたか?
という事で、ほぼ無意味な表題から入ります。ドラクエ10の関係があろうがなかろうが、規制しろ!という意見はほぼ無意味です。
統計的にもそれを取りようがありませんし、一万歩譲って影響があるにしても、度々取り上げられる、例のステラ神事件はドラクエ10プレイヤーが法律的には被害者ですので、今回の事件のたったの一件だけが根拠となります。(川崎の事件の犯人はドラクエ10を所持していた可能性は非常に低いので除外します)
そもそも統計だけを重視するのも正しいとはいえません。
男性は女性の4倍の犯罪率であり、凶悪犯罪に限りはさらに高まります。これを持って男性を規制しろ!・・とはならない訳で、事件は個別的な対応をするべきでしょう。
銃が奪われてしまったという点においても、奪われにくいように改良された新型の拳銃入れにさえすれば、事態は深刻化しなかったかもしれません。
ただそれは予算的な問題を含むことでドラクエとはまったく関係ありません。
以上が今回の事件で、そこまで盛り上がるとは考えづらいですが、一応書いておきました。
さて、「ドラゴンクエストのゲームをやめたら心臓から声が聞こえて困っている。」というたった一点の供述だけで謎の批判に晒されているドラクエ10ですが、もし僅かでも影響を与えていたとしたら、どちらかと言うと犯罪を抑制していたと考えるべきでしょう。
これは以前のステラ神事件と同じ結論なので、そちらも是非。依存できる対象があるという事はむしろ良い面も多いのです。

しかし、それにしてもなぜここまで「ドラクエ10」が叩かれることになっているのでしょうか。
そこには深い闇が存在していました・・。
経済的に不安定な男性の犯罪率は高いと考えるべき


ある資料によると、日本の未婚男性の不幸感は世界的に著しく高いという問題を抱えています。
また、先ほど記述しましたが、犯罪率は男性の方が女性と比較して4倍です。

だからといって犯罪者扱いされるべきではまったくありませんが、未婚者男性は経済的にも不安定であることが多い事が分かっています。また、失業率は犯罪率に大きな影響を与えることは統計的に明らかです。
「失業率と犯罪発生率の関係:時系列および都道府県別パネル分析」より抜粋
独身男性の犯罪率は統計的には分からないので答えようがありせんが、以上の事を踏まえると、経済的に不安定な独身男性の犯罪率は、標準の基準に比べれば高いと考えるべきかと思います。


無職男性=犯罪者のような決めつけは絶対にするべきではありません
ドラクエ10を叩くことで現実逃避する社会


少々話は大きくなっていきますが、日本の未婚率は今後も上がり続けています。
資料によっては2030年には男性の未婚率は30%を越えるといわれています。2040年はさらにその数字が大きくなっていきます。
「生涯未婚として一生を過ごす」祖父世代まではほとんどありえなかった現象が、わずか数十年であたり前のものになっていきます。これは恐ろしい現象であると同時に誰もに起こりえる事です。
さらに経済面でも、2020年以降の日本の景気はオリンピック需要の低下、増税による消費の落ち込みなど、明るい要素はひとつもありません。産業構造も20世紀から変わっておらず、車、エレクトロニクス、建設の日本経済3つの「肺」のうち、21世紀現在で機能しているのは車産業のみになりつつあります。
人口統計から行って就職氷河期とはなりえませんが(求人の減少よりも早く若年人口が減少するため)、雇用がさらに不安定になる事態は充分考えるべきことでしょう。
経済的に不安定になったり、何かの失敗により引きこもりになる事は、誰しもに起こりえる「リアル」です。
自分が陥るかもしれない、孤独で不安定な未来象をかき消すためには、自分とは関わりがなく、自分とは違う点を無理やり探し出して、それを叩くことがもっとも楽な方法です。これは一種の防衛本能といえます。
いわばドラクエ10は「社会全体の現実逃避」のためにスケープゴートにされたと考えるべきではないでしょうか。
引きこもりや犯罪がドラクエ10のせいならば、どんなに楽な問題なんでしょうか。
孤独な者が多数派になったとき、それは孤独なのか
少々話が大きくなってしまいましたが、経済的にはより強い不安感を抱えることになるのが令和時代の日本になるのでは・・と思います。悲観する必要は置いといても、危機感は持つべきだろうと思います。
経済的な行き詰まりに対して、何か解決策があるのか・・・わかりません!!
しかし、100年以上前は”米と絹の他に主要産業がないこの国家の連中は”・・・時代です。たとえ30年前だとしても、その時代で暮らしたいか?と言えば、PCもネットもないリアルなんてうんざりもいいところです。30年後の産業でさえズバリ的中させる人なんて居ないでしょう。
その一方で、今後ますますコミュニティとは隔離された人が増えていきます。未婚率の上昇。孤独。こういった社会問題はまったく他人ごとではありません。
例えばネトゲやインターネットというツールは人同士が僅かでも繋がることができる唯一のツールで、孤独感を緩和できる効果が期待できるのではないかと思います。
しかし、問題はサービス期間が人の一生をカバーできるほど長くないという点でしょうか。
ドラクエ10も10年では終わりませんが、これが20年となればゲームが終わらなかったとしても、ゲーム内でも孤独になるかもしれません。
依存できる対象を喪失した時の緩和は現状では難しい事は確かですが、コンテンツとして失敗してしまったセカンドライフの後継となるべきシステムの存在は今後また注目されるものになるかもしれません。
アストルティアというバーチャルへ、バーチャル空間を通してアクセスするという時代です。
これらはまだ不完全で”しょうもない”レベルのものかもしれません。しかし、誰も30年後の事なんて予想できません。昭和の時代にVTuber!の事を語っても、良くて変人扱いでしょう。
「孤独である者が多数派になったとき、それは孤独といえるのか。」
21世紀中盤の社会は結婚はおろか「人間」の概念も変わっていくかもしれません。