青山本で読み解くドラクエ10 ~自社製ゲームエンジンの苦戦~

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通称、青山本読みました!

ちなみに電子書籍で購入です。

この記事は感想だけを書くような内容ではないのですが、一応簡単に書いておきますと万人が楽しめるような内容ではないと思います!

技術本にしては本当に深い部分が公表された訳ではなく、ゲームの本と見るといろいろと取っつきづらい部分が多いです。

ただ、少しでも興味がある分野があるのなら一読する価値は充分あるかと思います。

たとえば個人的にはゲームエンジンやグラフィックの話は興味深く読むことが出来ました。

プログラミング関連の話はC++あたりは興味あったのですが、それ以外はちょっともう付いていけなかったのでわりと流し見しちゃいました(´・ω・`)

また、ドラテンTVでもよく語られていたエピソードがより詳しくまとめられていますので、教えて青山さぁんのコーナーを楽しめたという人もわりと入り込みやすいと思います。

感想としてはそれくらいなのですが、言いたいことが長すぎてしまう事が判明したので2回に分けたいと思います。

1回目は少々暗い話なのですが、お付き合いください!(´∀`)

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ゲームエンジンで考えるドラクエ10とスクエニ

ゲームエンジンは読んで字のごとし。車がエンジンがなければ走らないように、ゲームもエンジンがなければ動かないのと一緒でまさにゲームの世界をつくる上での要です。

余談ですが当研究所でも何回か記事にしていますが、今作っているVチューバー用モデルはゲームエンジンのunity上で稼働しています。

・・・ということで本題です。

青山本を見てみると、現在ドラクエ10はクリスタルツールズという2008年ごろに発表されたスクエニ自社製のゲームエンジンを使用しているそうです。

クリスタルツールズといえばFF13あたりの印象が強かったのでドラクエ10でも使われている事は意外でした。

この本ではクリスタルツールズはWiiは想定しておらず、ドラクエ10用にカスタマイズする必要があったとされ、今では使い勝手が大幅に変わってきたと書かれています。

「スクエニは自社製ゲームエンジンを使っているのか、すげぇ!」・・・・で終われる話なら良いのですが、曲者なのはこのクリスタルツールズという代物です。

発表が2008年と既に10年経過している事も問題といっちゃ問題ですが、息の長いゲームエンジンは繰り返し改良されて10年選手も見かける事もありますので、そこは置いときましょう。

問題は現状で使われているゲームの数で、このエンジンが使われたのはFF13とFF14(メテオで潰れた方)くらい・・・つまり、使われているというより、使われていたといった過去形の表現の方が正確です。

▲信じられないだろ、FF13ってもう10年くらい前なんだぜ・・・。

あくまでも表向きに発表されていた限りの話ですが、現行機でクリスタルツールズが使用されているゲームはありません。

ちなみにFF14は当初はクリスタルツールズで、新生以降は独自開発された別のゲームエンジンと言われています。

古いゲームエンジンは人的資源の活用を困難に

ゲームエンジンという存在が大企業だけが使用を許されていた時代はとうの昔となり、現在スクエニでも使われているアンリアルエンジン4は価格も安くなりました。

というより、無料になりました。

条件付きではありますが、無料ですぐにそこそこのグラフィックを持つゲームが誰でも作れてしまう時代になりました。

ただ、この手のゲームエンジンは大きな利益を生む場合、ゲームエンジンの制作会社に支払われてる仕組みになっているので(例・売上の5%)大規模なゲーム会社は自社の技術水準を維持するためにも自社製ゲームエンジンを作る傾向にあります。(foxエンジン、MT Framework 等)

▲国産でも最高峰と呼ばれたFOXエンジンは小島監督とコナミのイザコザから、ウイイレエンジンに名前が変わったという噂があったが真相は不明である

「体力のあるゲーム会社はエンジンを自主開発すればいい。」

確かにその通りなのですが、もう一点、かれたゲームエンジンを使用する事のメリットがあります。

・・・それは比較にならないほど、エンジンを動かすことができる「人」が居るという点です。

例えばクリスタルツールズと検索しても、スクエニの記事が数点ヒットする程度ですが(&罵詈雑言)、unityと検索すれば幾万とヒットします。そこには丁寧なチュートリアルから解説動画まで何でもあります。極端な事を言えば、小学生でもunityに触れて動かすことができます。

しかも、これらツールは完璧ではないにしても日本語化が進んでいます。

おかげでスムーズに機能を覚えることができ、短期間で・・まぁちょっとではありますがunityにほんのり詳しくなることができました。(体験談)

▲実装に苦慮した(?)トゥーン表現も最新のゲームエンジンならすぐに実装可能(画像引用  ドラゴンクエストXを支える技術)

最近CGやエンジン関係のツールは急速に日本語化が進んでいます。現場ではいまだにアプリは英語が主流の部分はあるそうですが、今後日本語で手早くツールを覚えつつ、英語のツールやプラグインを覚えていくというやり方が増えていくのではないかと思います。

話を戻しますと、どんな立場のどんな人であっても、簡単にゲームエンジンにアクセスできるというのは人材を確保しやすいという点で大きなメリットになるのです。

それに対して自社製エンジンは社内空間だけで共有されるものになります。

それを使いこなすためには経験が必要ですし、即戦力にはなりません。

ドラクエ10で最近繰り返し言われた組織の新陳代謝という言葉ですが、新しい人材が入ったとしてもクリスタルツールズの仕様をまずは覚えなければいけません。新陳代謝があるのは良いと思うのですが、出ていく人材に入る人材が追い付かなければ困った話になってしまいます。

つまり、古いゲームの古いエンジンを新人に覚えさせるメリットがどれだけ企業側にあるのか、ドラクエ10の立場はとても微妙です。

今後スクエニではアンリアルエンジンの使用が多くなっているのは、アンリアルエンジンは、そもそもプログラムを知らなくても、ある程度ゲームが作れてしまうというお手軽さと、クリスタルツールズの開発環境であるC++をアンリアル上で変換する事が可能という事も理由のひとつではないでしょうか。(UnityはC♯)

▲アンリアルエンジンであらかじめ用意されている素材を使ってゲームを作ることができる。とりあえずプログラムを行うスキルは必要ナシ!(ただし開発会社は最近チャイナ企業の傘下となった)

ちなみにリソースの量が多いと言われる背景CGはグラフィックスの開発ツールはMAYAと書かれており、そこはゲームエンジンとほぼ関係ないので問題とならないです。

むしろローポリ制作のスキルが問われるドラクエ10とスクエニの主力のひとつのスマホゲーの技術はかなり似ているといえます。

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自社製ゲームエンジンをあきらめた訳ではない!

それではドラクエ10を取り巻くクリスタルツールズにまったく未来がないかと言うと必ずしもそうとはいえません。

順を追って現状をみていきましょう。

例えば現在のFF14はMMORPG向けにカスタマイズされた独自のゲームエンジンを使用していると言われていますので、開発環境の欠点はドラクエ10と似ています。

またスクエニはルミナススタジオという自社製ゲームエンジンを開発しました。クリスタルツールズの後継といえるものです。

▲ルミナススタジオで開発されたFF15のDLCが次々に開発中止になった。

またキングダムハーツ3は開発途上でエンジンをアンリアルに変更した。

しかし、このルミナススタジオは失敗に終わる公算が高いという事で、2代続けての不発となればスクエニの戦略は大きく狂うことになります。

ドラクエ11で使用されたのはアンリアルエンジンで、構図としてはアメリカのエンジンに対抗することができなくなった日本のゲームエンジンと見えてきます。

まるで、かつての誉エンジンを巡る、日米の航空機発動機開発競争を見ているかの如くですが・・・。

まぁ、もう少しふ瞰してみると、必ずしも日本製のゲームエンジンが苦境に一辺倒に追い込まれていない事もわかります。

カプコンでは自社製ゲームエンジンの開発は盛んにおこなわれ、モンハンワールドやバイオハザードでは大きな成功を果たしています。

また、スクエニの内部留保は1300億円と規模から考えると相当なもので、ルミナススタジオの開発に失敗したとしても(開発責任者、CEO田畑端氏は退職)致命傷になるとは考えられません。

引き続きアンリエルエンジンといった社外製のエンジンを「繋ぎ」として使っていき、その一方で自社製ゲームエンジンの開発を行っていく方が、むしろ可能性としては高いといえるのではないでしょうか。

例えばアンリアルエンジンを見ても、ナンバーは「4」です。アンリアルエンジン1とか2なんて誰も存在を知らなかって程度のシロモノです。

確かにスクエニの技術水準にも疑問がいくつもありますが、クリスタルツールズやルミナススタジオの運用は、新たなゲームエンジン開発にとって貴重なサンプルと考えることもできます。

ドラクエ10がその貴重な自社製エンジンの運用し、かつトゥーン調(アニメ調なグラフィック)の作品という独自性は他にないもので、エンジンの系譜さえ途切れなければ唯一の存在と考えることもできます。

まとめ

という事で、ゲームエンジンを中心にドラクエ10の違う意味での「根っこ」の部分を語っていきました!Σ(・ω・ノ)ノ

ドラクエ10は既にサービス開始から6年以上が、開発から考えると15年以上は経過しています。青山本で考えうるに、ドラクエ10はサーバー面では革新的な挑戦をしつつ、グラフィックやゲームの計算にシングルスレッドを使う仕様など、新しい技術と枯れた技術を割り切って作られている作品だなと思いました。

まぁなんだかんだでスクエニは次世代エンジンの開発は諦めないでしょうし、ドラクエ10にはたくさんの運用実績を作ってもらいたい・・というところでもうちょっと予算アップでお願いします!

めさわらう
次回は・・・ゲームエンジン以外で思った事を書いていきます!

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mesa3

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