失われたMMORPGの用語集

日本にITという言葉が根付いてまだ日が浅かった21世紀初頭。

IT化の流れはゲームにも及んでいた。そこで現れたのは、国産MMORPGの雄FF11と、伝統的ドット絵風MMORPGのROであった。この二つは良くも悪くも日本のMMORPG界を代表することになるが、そこには今のゲームでは考えられない歪があったのもまた事実であろう。

今日はそんな歪みから出てきた用語や名言を敬意をもって追悼しつつ、語っていきたい。

1.トレイン

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画像出典 ラグナロクオンライン

昨今のMMORPGでは見られなくなってしまった伝統芸能。

特に大量のモンスターを狩らなければいけないROではレベル上げでもっとも効率的な手法と言われていた。

やり方は実にシンプル。モンスターの群れに騎士を放り投げ、ヘイトを集めて陣地まで戻ってくる。その大量のモンスターを引き連れている姿を皮肉ったのがトレインという現象だ。

陣地ではウィザードなどの範囲火力専門ジョブが凍結魔法を用意していれば、敵を一網打尽にでき経験値効率ウハウハなのだ。

しかしこのトレインを正確に表現するならば言わば暴走列車であり、運悪く騎士に近づいた他冒険者を巻き込む人身事故が相次いだ。なお、ひいた列車はそのまま立ち去るというひき逃げがデフォであり、迷惑行為になりえる行為でもあった。

また、陣地に待機している回復職も「あれ?俺もトレインしていったほうが効率よくね?」と悟りモンスター探しに出たところ、待機していたウィザードがモンスターにぬっころされるなど、身内においても微妙に連携がとれない事もある。

2.癌畜

MMORPGの黎明期を支えた究極のクソ会社がわれらがガンホーである。

BOTは全放置。取締り一切ナシ。韓国に次ぐ二番目に早くサービスを開始したのに気づいたらコンテンツの実装速度がドンケツ。スキル修正放置。社員がRMTをして1000万円を稼ぐ、毎週一回キムチパーティー  

・・・じゃなくてメンテは延期。ガンホーサイコーマンクルポ。等々、挙げたらきりがないが、そんな人類史に残るクソ管理にも関わらず、度々発売される課金装備などを購入し続けたり、文句を言いながら残る連中の事を癌畜と呼称した。

なんだかんだで皆、ゲーム自体は好きなのである。余談ではあるが、装備品4つセット(他ゴミみたいなグッズ)で1万2800円という値段だった。

余談ではあるが、パズドラで大量にリアルマネーを捧げるものにもこの呼称が付けられているようだ。

死語とはいえない・・・!?

3.AFK

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画像出典 ラグナロクオンライン公式ラインスタンプ

ゲーム内でログインしたまま休憩を入れる事を指す。

その際にはチャットルームをたてて「AFK」と入れる光景が良く見られた。これによってそのキャラクターは現在退席している事を周りの仲間に示すことができる。

ドラクエ10でと言うところの退席マークに近い。

当時サーバーが不安定な事も多くログインしたままにしておけば、障害を回避できるのではないかとこの手法が用いられた。

なお、問答無用にサーバーがダウンすれば意味がない話なので、効果があったかどうかは議論が残る。

比較的サーバーが安定した時期でもAFK文化は健在であり、深層心理としては、ログアウトをしない事によってゲームとの繋がりを求めたという見方もできなくはない。

この行為自体がサーバーに負担を招く事もあり、ドラクエ10ではログアウトすることによる恩恵を付与する元気玉を実装している。

4.放置露店

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画像出典 ラグナロクオンライン

ドラクエ10では当たり前のバザーもこの時はまだ一般的とはいえなかった。

ではどのように装備を売買をしていたか?プレイヤーは商人のキャラクターをわざわざ作り、個人で露店を開くことが求められた。

例えばプロンテラ(グレンのような場所)では路上に大量の商店が連なり、リアル商店街をも凌駕する一大マーケットを形成していた。

しかも、ログアウトをすると商店も消えてしまうため、なんとPCをつけっぱなしにする必要があったのだ。

当時のCPUとROの仕様からCPU使用率が非常に高くなるという欠陥も抱えていた。PCを放置しながらお金を稼ぐ(ゲーム内通貨)のは言い方を変えれば仮想通貨のマイニングの先駆けという極めて先進的な行為といえる(嘘

今となってはバザーというビルひとつで済ませることができるが、当時は不便なりの面白さもあったのは事実であろう。

5.臨公広場

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画像出典 ラグナロクオンライン

仲間募集など気の利いたシステムはまったくなかった当時のMMORPGでは、仲間を募集するためには一定の場所に集ってメンバーを確認する必要があった。そんな狩りにいきたい冒険者が集う場所を臨時公平広場。通称臨公広場と呼称した。

白チャットで呼び込むというよりは、チャットルームを制作して、キャラクターの頭上に募集内容を明記するというのが一般的で、正直なところグレン1よりもかなり見やすい。

昨今のMMORPGでは寂れつつあると思われたのが、ドラクエ10では奇妙にもその文化が残り続け、グレン1で見かけることが今でもできる。

6.枝テロ

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画像出典 ラグナロクオンライン

一大マーケットを形成したプロンテラで稀によく頻発するテロ活動。このゲームには古木の枝というモンスターを召喚することができるアイテムがあるが、なんと街中でも使用可能で、大量に運用することで街中をモンスターで埋め尽くすことも可能だった。

この枝テロにより、放置商人たちは大量に死亡。通りかかった通行人が自警団を組織してモンスターを撃退することになる。

その際には多数の大魔法のエフェクトが乱れ飛び、さながら市街戦の様相を呈することもあった。

一度死ぬと露店状態が解除されてしまうため、嫌がらせとして成立するものの、街中での死亡時のデスペナルティは回避されることから、費用対効果の良いテロ活動とはいえない。

そこで枝テロは形を変え、例えば初心者が単独に通りやすそうなマップの一部に大量にモンスターを出現させたり、仲間募集エリア(町の外)でのテロ活動に切り替えていくことになる。

7.内藤

言葉の発祥はFF11であり、PTを守るイケメン職であるナイトの役割をまったく果たさない騎士への蔑称としても用いられた。そんなダメ騎士の内藤は後に架空人物化して、地雷の代名詞として語られることになる。/shout連発、両手剣愛用、サポシ、回避重視、ついでに不意だま絶対回避のスキルなど。これらはネタにされ、スレッドも立てられるなどMMORPG界隈では人気を博した。

「うはwwwwwwwおkkkkwwwwwwwww」などの特徴的な言動は内藤語とも呼ばれるが、浸透力はかなりのもので、まったくの無関係であったROでもFF11から内藤語を輸入するに至る。

ROでの内藤像は赤い逆毛であり、地雷人物の代名詞として強烈な印象を残すことになった。

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画像出典 ラグナロクオンライン


8.エミュ鯖

ROのクライアントの特性上。サーバーさえ用意すれば、なんとユーザーが自前でゲームの運用を行えてしまう。

一時期は新しいスキルの実験場など幅広い用途から、エミュ鯖独自のアイテムの実装。チャ〇H鯖などありとあらゆる需要なカバーする幅広い展開が見られた。

もちろんこれらは明確な規約違反であるが、皮肉なことにエミュ鯖の崩壊を招いたのが、エミュ鯖のプレイヤーではないかという指摘もある。あるエミュ鯖で不当な扱いを受けたと主張した者が、恨みからあらゆるエミュ鯖を通報しまくり、結果的に重い腰をガンホーがあげざるを得ない状態になったというロジックだ。

これが正しいかどうか確認することは難しいが、自壊した側面があるのは確かな事実のようだ。現状でも規約違反だけでなく、著作権違反であるとガンホーは実質的に認識している。

絶対にやめた方が良い行為だ。

9.クホる

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画像出典 ラグナロクオンライン

ドラクエ10では合成に失敗しても装備品が無くなる事はないが、かつてのROでは錬金(アクセ合成に近い)に失敗するとアイテムをロストする仕様だった。ある意味ではver1はそれに近いものがあるが、その精錬屋のNPCをホルグレンという。

失敗時の特徴的なセリフはクホホホというもので、多くのプレイヤーを恐怖に陥れた。「気に入ってくれるといいな~」という魚とどっちが憎たらしいか判断に困るところである。

ちなみに後期に実装された精錬成功率を上げることができるアイテムの濃縮エルニウムは1個1000円であった。

10.しょうがないにゃあ

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※ROlineスタンプでも登場!

FF11ではFF14へのデータの引継ぎが行われない事への抗議として、一種の名文章を完成させたカズヤ氏や、会社やめてください発言、暴言などバトルやギルドに起因する話は多いが、ROではそれとは異なる闇が多い。

後に創作だと判明したので割愛するが、お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!というセリフで有名なS県月宮事件。

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(このlineスタンプよすぎだろ・・!(マ))

なぜこのような創作が拡散することになったか多くの議論があるものの、ひとつの考えとして、当時のインターネットの不気味さとROという”ナンデモ”ありえそうな空間が生み出した歪みのひとつといえる。

その中で今でも語り継がれるMMORPG三大名言のひとつとして知られるのが「しょうがないにゃあ」である。

どんな行為の中でこの発言があったのかは詳しくは割愛するが、

♂:あの、すいません、お願いが。
♀:なにかな

♂:見抜きさせてもらえないでしょうか・・・?

♀:見抜き?
♂:はい。
♀:あー
♀:判った、そういうことか・・・
♂:いいでしょうか?
♀:うーん。
♀:たまってる、ってやつなのかな?
♂:はい

♀:しょうがないにゃあ・・
♀:いいよ。

という一連のやり取りから生まれた。

現在でMMORPGは開発がユーザーへ遊びを提供するコンテンツが重視される時代であったが、当時のMMORPGではプレイヤーキャラクターを育成する中で生まれる様々な歪みを楽しむゲームとも言えた。

今このゲームシステムが流行るとは考えづらいが、当時生まれてきた言葉たちも、そんな歪みながらも愉しい時間の産物ではないかと思う。

既に死語になってしまった多くのMMORPGスラングを追悼しつつ、筆をおきたい。

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